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2019
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展示空間再構築の必要性【並木浩一の時計文化論】

スウォッチ グループがバーゼルワールドに出展しない、というニュースが、時計の世界を驚かせています。
来年に限ってか、永久離脱の方針なのかはわからないのですが、少なくとも2019年のバーゼルワールドは、
巨大コンテンツを失うことになります。

開催を危ぶむ声まで、一部のジャーナリズムにあるほどです。巨額の出展料が失われる問題でもありますが、それ以上にスウォッチ グループの"具体的で可視的な存在感"が失われることへの危惧です。

バーゼルワールドの会場の中での一等地は、1号館の1階です。メイン入口から一直線に続く広い通路があり、左右に並ぶのは名だたるブランドのブース。そしてその先の視線を、広大なスウォッチ グループのエリアが完全に遮る構造になっています。

実際はその裏側にも他ブランドのブースがあるのですが、オメガのロゴを掲げたブースの建物がそこだけ真正面の入口側を向いています。壮大な寺社が表参道の行き止まりに屹立している、そんな光景です。
仲見世を見ながら本堂に向かうようなストレートの動線が敷かれているわけで、突き当たりが一等地中の一等地。独立したブランドの共同体なのですが、バーゼルワールドのなかでスウォッチ グループは、一つのゾーンを形成しています。
1号館1階の、特権的な位置ともいえるでしょう。

 

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