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2017
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GREUBEL FORSEY 完全無欠の手仕上げ美

長らく知る人ぞ知る存在だったグルーベル フォルセイ。平均価格5000万円以上、創業以来の総生産数は約1070本と聞けば、よほどのコレクターであっても見る機会がなかったのは当然だろう。加えて、かつてのモデルはデザインのアクが強く、サイズも大きかった。つまり、買えるコレクターであっても食指を動かしにくかったことは否めない。


 しかし、銀座に新しくギャラリーが生まれ、年々デザインも洗練された結果、以前より敷居はずいぶん低くなった。価格は相変わらず途方もないが、時計の完成度を考えれば、これは妥当と断じたい。筆者の知る限り、止まった時計を軽く振るだけでキャリッジがひとりでに回り出すトゥールビヨンは、グルーベル フォルセイをおいてほかにないのである。


 ルノー・エ・パピに勤めていたロベール・グルーベル氏とステファン・フォルセイ氏。彼らは1999年に独立し、2001年にコンプリタイム社を創業した。




グルーベル フォルセイ共同創業者のステファン・フォルセイ氏。1967年、英国生まれ。87年、宝石商のアスプレイに入社。修復部門のマネージャーを務めた後、ルノー・エ・パピ(現オーデマ ピゲ ルノー・エ・パピ)に入社。99年にロベール・グルーベル氏と独立し、2001年にコンプリタイム社を創業。04年にグルーベル フォルセイ社を設立し、第1作のダブル トゥールビヨン 30°を発表。

 フォルセイ氏はこう語る。「独立した私たちはコンプリケーションを作ろうと思った。トゥールビヨンにフォーカスした理由は、それが200年もの間、大きく変わっていなかったからだ」。


 グルーベル フォルセイの特徴のひとつが、トゥールビヨンへの傾倒である。「シグネチャー1」と「ダブルバランシエール」以外、彼らはトゥールビヨンのみを作ってきた。


「トゥールビヨンの進化は3つある。1870年のアルバート・ポッター、1926年のアルフレッド・ヘルヴィグ、そして1976年にアンソニー・ランデルが作った2軸トゥールビヨン。今のトゥールビヨンは大変良く出来ているが、基本的には懐中時計用のトゥールビヨンを小さくしただけだ」。対して、グルーベル フォルセイは腕時計専用のトゥールビヨンを作ろうと考えた。それは「デルタの平立差(≒姿勢差誤差)を可能な限り縮めたトゥールビヨン」。2004年に完成したのが「ダブル トゥールビヨン °30」。


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